【はじめに】
ここでは,毎年三月に沢面が春合宿を行っている西表島について色々紹介します。何故我々京大ワンゲルがこの島を毎年訪れるのか,そしてこの島の魅力が伝われば幸いです。
KUWVTop > 西表島特集
ここでは,毎年三月に沢面が春合宿を行っている西表島について色々紹介します。何故我々京大ワンゲルがこの島を毎年訪れるのか,そしてこの島の魅力が伝われば幸いです。
西表島は,沖縄県は八重山諸島に属する亜熱帯の島です。面積は八重山諸島で最大の289平方km。京都大学吉田構内全体の大体400倍、左京区より一回り大きいくらいですね。人口は2000人程で海岸沿いに集落が幾つか分布していますが,島の殆どはジャングルに覆われ,豊かな自然を誇ります。天然記念物のイリオモテヤマネコとかは,聞いた事がある人も多いのでは?それ以外にもセマルハコガメ,キノボリトカゲ等の貴重な動物がいます。植物も独特で,マングローブが茂る干潟等はなかなか見物です。海に目を向ければ,珊瑚礁の青い海と白い浜が広がっています。ここでしか見る事が出来ない,南国の真の自然と言えるでしょう。まさに東洋のガラパゴスです。
このような自然が西表島の一番の魅力でしょうね。それを体験する為に,色々なツアーも企画されているようです。何人かで民宿に泊まり,昼は島の各地を回り,夜は泡盛を飲み交わすとか、やればさぞ良い思い出になり、これだけでも十分に楽しめることでしょう。しかし我々は,西表島のもっと奥深く,更に濃厚な部分にまで足を踏み入れたいと思ってしまうわけでして。ここから先は,我々のフィールドである西表島の沢と海岸について詳しく触れてみたいと思います。
八重山諸島の島には珊瑚礁が頭を界面から出しただけの平坦なものも有りますが,西表島はその大部分が山地からなっています。最高峰は古見岳470mで,さほど標高が高いわけでは有りません。ですが,豊富な雨の為に河川が網の目の様に発達しています。この河川が,沢登りには絶好のフィールドとなるのです。登山道は島の中央を東西に結ぶ横断道一本しか無い為,我々は沢から沢への連続遡下降を3泊〜6泊の規模で行っています。現時点で,西表島の沢の経験・知識の蓄積量に関して我々京大ワンゲルは日本有数の団体であると自負しております。
西表島の沢は,本土の沢とは全く様相が異なります。沢登りといえば,豪壮な滝,美しいナメ,神秘的な淵といった綺麗で爽やかなところを水と戯れながら進む,というのが一般的な印象じゃないでしょうか?これは本土の沢においては全くその通りです。しかし,西表島においてはこの認識は当てはまりません。いや,正確にいえばこういった部分も有るには有ります。ですがそれ以上に印象的なのは果てしなく現れるトロです。言葉の定義は知りませんが,淵ではなくトロです。トロは,深緑色の澱んだ水が溜まり,水の流れは一切無く,底には泥や落ち葉が堆積し,踏み込めば足が沈み込み,メタンが大量に沸き出すところです。爽やかさの欠片も有りません。こういったトロを,泥に呑まれかけながら渡ったり泳いだりして突破するのが,西表島の沢登りの本質的な部分です。
こう書くと酷い所の様にしか思えませんね。実際慣れる迄は辛いやも知れません。ですが辛いのはトロだけですし,慣れてしまえば逆に楽しくなってきます。更に,トロの全てを受け入れれば,西表島の沢は素晴らしい魅力を発揮します。苔むした岩が点在する流れは滔々と流れ,木漏れ日差す亜熱帯の森が我々を包みます。岩を穿つ大滝があり,水底では巨大な魚影が揺れます。ふと周りに目を向ければ,西表島の森の王,イリオモテヤマネコに出会えるかも知れません。圧倒的な自然とその中に息づくたくさんの生命,そしてその中にある自分の存在、これらを全身で感じる事が出来る場所,それが西表島の沢なのだと思います。
西表島の沢は,トロを受け入れて初めてその魅力の全てを体感出来ます。しかし海岸は,訪れる者すべてにその魅力を遺憾なく発揮してくれると言って過言では無いでしょう。典型的な表現になってしまうので情けないのですが,まさに青い海と白い浜,抜けるような青い空と珊瑚礁が広がる地上の楽園です。爽やかな風と照りつける日差しを受け岩礁やリーフを歩く海岸歩きは,先ほどのような沢を終えた我々にとって最高のご褒美といえましょう。京大ワンゲルでは,西表島の南海岸〜西海岸を一週間程かけて歩き通す形式で,海岸歩きを行っています。この辺りは人が住んでいない上に道路も無く,素晴らしい海を独り占めです。足跡が全く無い砂浜を踏みしめ,広大な干潟とマングローブ林を渡り,リーフの上で魚と戯れ,岩礁から太平洋に沈む夕日を眺める。夜は満天の星空と波音に包まれ眠りにつく。これが西表島の海岸歩きです。
海岸歩きは,一日の行動時間が4時間程しかありません。引き潮の時しかリーフの上を歩けないので,潮が引くまではどうしようもないからです。しかし,だからこそ海で目一杯遊ぶ事が出来るわけでもあります。綺麗な魚を追いながらリーフを泳いでいて,ふと下を見ると何十mも一気に切れ落ち,遥か先に魚の群れやウミガメが見えた時,西表島の自然の大きさを感じる事が出来ます。
海岸歩きで忘れてはならないのは,海の幸の事ですね。前述の通り時間がたっぷりあるので,海で魚を釣ったり,銛で刺したり,貝を採ったりして食料調達をします。サンゴ礁と岩礁が発達しているから,ハタの仲間やフエダイなんかがいくらでも釣れます。個人的にはルアーを勧めます。浜辺で焚火を囲んで,焼きたての獲物に舌鼓を打ちながら泡盛を飲み語り合う時,ワンゲルやってて良かったとしみじみ思います。
西表島の海岸は,美しい海とその恵みのおかげで魅力たっぷりです。果てしなく続く海,抜ける様な青い空,緑の山々,島渡る風。釣りに水泳,星空の下での焚火,仲間との語らい。何もかもが綺麗で,心地良くて,心が満たされます。間違いなく,掛け値無しに最高の場所です。
長々と書きましたが、西表島の魅力とそこでの我々の活動の面白さ、分かってもらえたでしょうか?京大ワンゲルは活動に興味を持った方、活動に参加してみたい方を歓迎します。詳しい話、体験談を聞きたい方は是非入部案内等を見たり、ワンゲルのBoxに足を運んでみたりしてください。
以下、西表島のお勧めスポットや我々の活動記録(山行記録)を載せておきます。
ここからはワンゲルの活動では訪れることはありませんが、合宿の前後に訪れる部員は結構います。
年度 | C.L. | 沢登り記録 | 海岸歩き記録 |
2015 | 杉原 | ヒナイ川〜南風見田浜 | 内離島・外離島探検 |
2014 | 宗里 | 実施せず | 南風見田浜〜イダ浜 |
2013 | 大路 | ヒナイ川遡行〜イタジキ川下降 | 南風見田浜〜イダ浜 |
2011 | 服部 | 大見謝側遡行〜イタジキ川下降 | イダ浜〜サバ崎〜ヌバン〜イダ浜(Escape) |
2010 | 根本 | 由珍川遡行〜板敷川下降〜マヤグスク滝〜展望台〜軍艦岩 | 南風見田浜〜鹿川〜野浜〜ケイユウオジイとシロの浜〜イダ浜 |
2009 | 中澤 | ヒナイ川遡行〜板敷川下降〜マヤグスク滝〜展望台〜軍艦岩 | イダ浜〜鹿川〜野浜〜ケイユウオジイとシロの浜〜イダ浜 |
2008 | 原澤 | 実施せず | 実施せず |
2007 | 北村 | ヒナイ川〜イタジキ川 | イダ浜〜サバ崎〜ヌバン〜イダ浜 |
2006 | 平澤 | ヒナイ川〜南風見田浜(Escape) | 南風見田浜〜舟浮 |
2005 | 平澤 | ギンゴガーラ〜仲良川〜大浜 | 舟浮〜鹿川〜ヌバン〜舟浮 |
2004 | 正岡 | ユツン川遡行・イタジキ川下降 | 南風見田〜ヌバン〜舟浮 |
2003 | 吉田 | ヒナイ川〜イタジキ川〜大浜 | 南風見田〜鹿川〜ヌバン〜舟浮 |
2002 | 齊藤 | 古見岳〜南風見田 | 南風見田〜イダ浜 |
2001 | 伊藤 | 大見謝〜イタジキ川〜大浜 | 南風見田〜鹿川〜ヌバン〜舟浮 |
2000 | 高橋 | ヒナイ川遡行〜イタジキ川下降 | 南風見田〜鹿川〜ヌバン〜舟浮 |
1999 | 高田 | ギンゴガーラ〜仲良川〜大浜 | サバ崎〜鹿川〜南風見田 |
1998 | 岡咲 | 大冨〜ギンゴガーラ〜南風見田 | 南風見田〜サバ崎〜舟浮 |
1997 | 河目 | ヒナイ川〜イタジキ川〜浦内川 | 舟浮〜崎山〜南風見田 |
1996 | 山中 | 古見岳〜マヤグスク〜大冨 | 浦内川〜大浜〜鹿川〜南風見田 |
1995 | 石井 | ヒナイ川〜イタジキ川〜浦内川 | 舟浮〜崎山〜鹿川〜舟浮 |
1994 | 鹿野 | ギンゴガーラ〜大浜 | 舟浮〜網取湾(Escape) |
1993 | 塙 | ヒナイ川〜イタジキ川〜大浜(Escape) | 南風見田〜鹿川〜サバ崎〜舟浮 |
1992 | 由谷 | ??? | ??? |
1991 | 米澤 | ヒナイ川〜イタジキ川〜大冨 | 南風見田〜鹿川〜舟浮 |
1990 | 高橋 | ??? | ??? |
1989 | 星川 | 仲間川〜ギンゴガーラ〜軍艦岩 | 大浜〜ヌバン〜サバ崎〜舟浮 |
※太字の年度にはネット上にも記録があります。是非ご覧あれ。