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2011後期 沢面 合宿part1

西表島 大見謝川遡行〜イタジキ川下降

【日時】

12年03月14〜16日 4人 2泊3日

【メンバー】

  • CL・医療・記録:服部
  • SL・Top・気象:水戸
  • Sec・食当:福田
  • 装備:岡野

記録 03月14〜16日

一日目:入渓(9:52)-CS1(13:39)

二日目:出発(7:12)-10mハング滝(9:10)-巻き終了(9:45)-分水嶺(10:28)-イタジキ川本流(12:20)-マヤグスク手前(16:05)-マヤグスク上右岸CS2(18:01)

三日目:出発・渡渉(7:10)-滝の下(7:25)-浦内川本流(8:10)-展望台(10:10)-軍艦岩(10:35)

ついに西表に行く日が来た。覚悟を決めて飛行機に乗る。春休みなにをしていたかあまり覚えていないが、恥を晒していたような記憶がある。

石垣島でメンツと合流する。ミトは離島桟橋近くの飯屋で去年と同じく大食いにチャレンジし、去年と同じく失敗していた。 高速船で西表に渡り例年通りのはら荘へ。食料などの買い出しをした。他のメンツは3麻などやっていたようだが僕は何をやっていたのだろうか?


翌朝大見謝川へアプローチ。バスの時刻が変わっていて困ったのだがのはら荘のおじさんに車で送ってもらった。ありがとうございます。

大見謝橋で入渓準備をしていると、パラついていた雨が一気に本降りになった。これはまずいんじゃないかという感じだったけど、ここで引き返して海岸までグダグダ過ごすときっと(後輩たちが)後悔するだろうなと思い入渓することにした。西表の沢なので大雨でもまあ大丈夫だろという甘い見通しがあったのもあるが、あとから大変な目に会うことになる。

遡行していても雨は降り続き、雨がバチバチバチバチと水面をたたいていてなかなかすごかった。写真を見ていただければわかる。滝はそこそこ出てくるがすべて簡単である。OBの伊藤さんによると「西表の中でもっとも西表らしい沢」とのことだったが、トロも少なく一度支流に迷い込んだ以外は順調に進んでいった。ただ雨も相まって虫が多すぎた。僕は顔を刺されまくってブチぎれた。


翌朝起きると雨が降っていたが準備をして出発をする。この日は雨が降ったりやんだりだった。核心部とされる10mハング滝は渾身のRFでうまく越え、難しそうな分水嶺越えもクリアし、イタジキ川本流に降りたつ。この時点で12時、西表は日が長いし登山道にたどりつけばまあなんとかなるやろということで一気にマヤグスクを越え展望台まで行くことにする。なにより早く帰りたかったのだ。虫が多すぎて刺されまくった僕はブチギレていた。サラテクトはまったく効かない。

今思うと前年よりトロが大きかった気がする。またトロの巻きもやたら多かった気がする。ともかく疲れを感じ始めてはいたがどんどん前に進み、いよいよマヤグスクの上のゴルジュから懸垂下降にとりかかる。まずミトが降りたのだがなんだか様子が変なようだった。上からは降りた地点が見えないのでよくわからない。後輩たちが降り僕の番となる。5mほど下ったところで下が見え、愕然とした。なんと降りる地点にものすごい水流が流れていた。しかしどうしようもないので降りる。最後は水流に流されながら懸垂下降をするという妙な体験ができ、なんとかテラスまでたどり着きこれで一安心と思ったら、なんとミト曰く水流が強くて右岸から左岸へ渡れないということだった。増水に対してというか西表の沢をなめすぎていたようだとようやく気付いた。

この時点でもう18時だった。妙案も浮かばず困り果てた。そして結局、一晩経って水が引くかさもなかったらどうにかしようということでなんとマヤグスクのテラスの上でテントを張って泊まることになった。この晩の不安さと不快さは過去最大のものとなった。横になりながら滝の音なのか雨の音なのか水の音を聞きながら、生きて帰れるのかと本当に思った。この時ほど下宿に帰りたいと強く思ったことはない。今でも雨の夜横になっていると、この日のことを思い出す。


翌朝起きるとやや水が引いていたが、結局残しておいたザイルを使って渡渉をした。ザイルは回収できなかった。その後滝自体は簡単に降り、あとは広くて穏やかな沢を下降。道に出会って2時間ほどで軍艦岩に到着し、とにかく精神力を消費したpart1は終了した。まだ本命のpart2があったが、正直もう下宿に帰りたくて仕方がなかった。そして医者に行きたかった。


その後は買い出しをして自由時間となった。夜、なんとなく一人で外をぶらついていた。爽やかな風が吹いており、こうしてのんびり歩いているとすべてを許せる気になった。ならない。もう無理だ助けてくれなどと思いながら泣きたい気分で歩いているといつの間にか小学校の校庭に迷い込んでいた。西表の夜は暗い。


つづく