05前期 沢パーティー夏合宿Part1

南会津袖沢水系「御神楽沢〜会津駒ケ岳」(未遂)

05年9月10〜12日 2泊3日 5人

メンバー
正岡、広瀬、中村、平澤、松尾

行程
1日目:小豆温泉登山口(入山)――三ツ岩岳避難小屋(CS1)
2日目:完沈
3日目:三ツ岩岳避難小屋――三ツ岩岳山頂――三ツ岩岳避難小屋――小豆温泉登山口(下山)

 今回の合宿は山域の関係上、雪渓に注意を払う必要がある。そのため完全に溶けてなくなると思われる9月まで入山を伸ばした(アブ対策も兼ねて)。そのためアプローチは18きっぷの期限ぎりぎりで、行きの電車では18きっぷで「哀・地球博」へ行く松田が鉢合わせたりした。

1日目 晴のち豪雨
待ち合わせの朝、野岩鉄道・会津高原駅で面子と合流した。駅舎は立派だが周りは見事に何もなく、いきなり山深さ満点である。平澤と広瀬は前日0付していて、どっちか忘れたが鬼ごっこをして手を傷めたとか言っていた。
バスで小豆温泉という所まで行き、そこから入山となるが、その前に温泉の駐車場で昼食にした。その頃から天気はぐずつき始めていたが、雨はやんでいたので1時に入山し、急傾斜な登山道をひたすら登った。合宿装備のせいでかなり足にこたえ、また湿度が高いせいか異様に蒸し暑く、辛い。
登山道は予想以上に時間を食い天気図レストをとっていたのだが、4時15分を回ったあたりで空が暗くなり、当然の雷鳴とともに豪雨に包まれた。天気図の途中だった広瀬は「聞き取れません!」と叫んだが、この豪雨の中聞き取れても無意味である。逃げ出すように出発したが、雨の猛威は一向に緩まず我々を叩き続け、あっというまに登山道は(誇張ではなく)沢と化していた。期せずして沢登りを強いられ、沢靴履いとけばよかったと思いながら黙々と歩き続けた末、5時半に唯一の希望、三ツ岩岳避難小屋に逃げ込んだ。
ログハウス風の小屋はすこぶる快適で、貸切状態のなか夕飯と酒を楽しんだが、雨はずっと降り続いたままだった。そして10時の天気図に、まるで我々を狙い撃ちするかのような不自然な低気圧が発生していた。小屋の夜は快適の一言だったが、やっぱり雨はやまなかった。

2日目 雨
翌朝4時に起床するも、まだしとしとと降っている。この後強行も考え沢靴も履いたが、「今日いっぱい降り続く」というラジオ天気予報の非情な宣告に心が折れ、完沈を決定した。一応書いておくと、御神楽沢は南会津を代表する渓谷で、明るい渓相が特徴の3級の沢。ここから1日かけて支流を下り、本流に入る。注意点は「増水が早い」ことで、この辺の地質のせいなのだろう、先日の登山道がそれを証明している。沢に入ると2日間逃げ場がないため晴れ続きと確信のあるときだけ入渓する、とレジュメにも書いて……もういいかな。
皆言わずとも翌日の撤退を理解していた。徹底的にゴロゴロしまくり、食事も普通につくり酒も飲んだ。この日は衆院選の投票日で、ラジオで開票速報を聞きながら避難小屋の夜はゆっくりと更け、皆次第に眠りに落ちていった。

3日目 晴
目が覚めると窓から朝日が差し込み、皮肉にも空は晴れ渡っていた。だが現実的には沢は増水で濁流と化しているし、この空も長くは続かないことを知っていた。
山を降りる前に、最後に三ツ岩岳山頂に登った。この時初めて南会津の景色を見た訳だが、周りの山々はどちらを向いてもなだらかな稜線が幾重にも重なってどこまでも続き、深い緑に埋め尽くされていた。盆地を埋めた雲海は朝日で白く輝き、青い空とのコントラストはまさに息を呑む美しさであった。今でも南会津を思い出したとき、まず目に浮かぶのがこの深い緑の山々である。山頂付近の針葉樹のシルエットもどこか北国を思わせ、いい雰囲気だった。詰め上がるはずだった会津駒ケ岳もよく見えた。山頂でひとしきりくつろいだ後は戻って片付けをして、2日間お世話になった小屋に別れを告げた。先日登ったばかりの急な道は、下りだと尚更足にこたえた。
このまま諦める訳は無く、チャンスはまだまだある。いずれ必ずあの緑の山へ詰め上がることになる。その時はまたこの道を登ることになるのだろう。
11時半に入山地点に戻り、下山とした。

(Part2へつづく)

文責:正岡

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