知床 |
概要 京都大学ワンダーフォーゲル部(以下京大ワンゲル)は、縦走・沢登りを活動領域とした登山サークルです。山岳部などのスポーツ登山を中心としたサークルから派生し、レクリエーションとしての登山を主体とするサークルとして1956年に発足して以来、日本各地の山々へと出かけています。 普段は、週末を利用して関西近郊に出かけ、夏と春の長期休暇には、北アルプス、大雪山、屋久島(以上縦走)、白神山地、西表島(以上沢登り)などに合宿に行きます。部としては冬山には行きませんので、冬場はあまり活動がありません。 |
05沢春合宿、西表島 |
具体的な活動(1) 「役員会」 京大ワンゲルでは、毎週水曜日夜7時から、ボックスで役員会という名の集会を開いています。ここでは京大ワンゲルとして実施するすべての登山についての「紹介」「審議」の手続きを行い、計画に不備がないかの判断しています。他にも、実際に行われた登山についての「報告」などを行います。 |
05年夏縦走、立山 |
具体的な活動(2) 「縦走」 普通、「山登り」と言って多くの人が連想するのが縦走です。つまり、山道を歩いていく普通の登山のことです。普段の週末に出かけるのは京都近郊の比良山系や奈良県の台高山脈ですが、春と夏の休みには日本アルプスや北海道の大雪山系、南では屋久島にまで足を伸ばします。自分たちでテント、寝袋、食料などを担いで登るので、荷物は軽くはありませんが、高い山々からの景色は素晴らしく、苦労してでも登る価値があります。 |
05沢春合宿、西表島 |
具体的な活動(3) 「沢登り」 沢登りは、河の上流や支流の沢を逆のぼっていく(反対に下っていくこともあり、こちらの方が難しい)登山です。山の中の沢は、淵や滝、岩の壁や巨岩などで変化に富んだ流れになっています。「渓流足袋」という底がフェルトになった靴(最初は草蛙)を履いて、山の頂上まで沢を詰めていきます。ロッククライミングの要領で滝や岩壁を越えていくのが沢登りの醍醐味と言えるでしょう。春と夏の休みの合宿では白神山地や知床、西表島などに行きます。水の中を歩くことに最初は戸惑うかもしれませんが、慣れれば三度の飯よりも楽しくなります。特に暑い日は非常に快適です。 |
05年、新入生歓迎コンパ |
その他の活動 縦走、沢登り以外の登山を行うこともあります。例えば、道無き道を地形図を頼りに突き進む「藪漕ぎ」、食料を釣りなどによって現地調達することを目指す「サバイバル」などです。また、サークルの活動としてではありませんが、同じサークルの仲間同士でスキーに行ったり、普通の旅行に行くようなこともあります。 登山以外では、「新入生歓迎コンパ」「追い出しコンパ」といった大学サークル恒例の飲み会を行ったりします。噂では、「第二役員会」と呼ばれる秘密の集まりもあるとか・・・・・・。 |
安全対策について(1) 事故が発生しにくい環境作り 登山中に発生する事故の中には、「無理がない計画立案」「参加者全員が計画についてしっかり把握しておく」といった、基本的な事項によって防がれるものが少なくありません。このため京大ワンゲルでは、部として山行を行う前に「役員会」において計画を説明し、役員全員の承認を得るという制度をとっています。参加者全員で作ったレジュメを参考にしながら、メンバーの顔ぶれ、日程などから見て無理の無い計画であるか否かを吟味するのです。リーダーはこの時までに全員の地図にルートを写させ、コースの状態(水場、テン場、危険箇所、積雪の有無など)を役場や小屋に問い合わせ、かつメンバーを把握しておく必要があります。そして、下調べが十分でなかったり、計画に無理があると判断された場合は、その山行に行くことは出来ません。多くの人の目に計画を判断してもらう場を設けることが、安全につながるのです。 | |
03年、奥秩父 |
安全対策について(2) 技術力の向上とパーティー制 安全に登山をするためには、それに見合った技術力や体力が必要です。そのために京大ワンゲルでは、ある程度の難易度の山に行く前には、近郊のロックゲレンデ(金毘羅)で基礎的な岩登り技術の練習を規定量以上こなすことが決められています。また、長期休暇中の「合宿」(本合宿)を行うために、常日頃から「予備合宿」を行い、徐々に登山としての難易度を上げていくことで、パーティーとして合宿を無事に敢行できる力量を身につけるような制度を設けています。予備合宿は原則的に同じメンバー、同じ役職でパーティーを組んで行いますから、少なくとも半年間は1つのパーティーが続くことになります。このためリーダーがメンバーの状況を把握しやすいことも、事故防止に役立っていると言えるでしょう。 |
安全対策について(3) 何かが起こった時への備え 入念な計画を立て、技術力を向上させても、事故や遭難を完全になくすことはできません。そこで京大ワンゲルでは、万が一の事態が発生した場合に備えて、幾つか対策もとっています。例えば、会員は山岳保険に加入することを義務付けられていますし、登山届け提出も徹底化されています。予備食・非常食などの装備も、必ず持っていかせています。さらに、部として留守番対策本部を設けており、最終下山予定日になっても連絡がない場合は、すぐに捜索に乗り出せるような体制を整えてあります。 |