2007年度前期 縦走面 森戸PartyPart2

台高山系 三峰山〜高見山

【日時】
2007年6月30日〜7月1日 0付1泊2日 予備日2日(行1完1) 5人

【メンバー】
CL:森戸,SL:宮城,装備:安達,食当:クリス

【行程】
30日(1日目):みつえ青少年旅行村−三峰山頂−白髭山−請取峠−CS1
1日(2日目):CS1−高見杉−蓬莱山−志賀駅(下山)

【概要】
  Part2は前回参加できなかった新入生を連れて行けるところを探した。台高北部ならちょうど良いと考え、三峰山から高見山へ歩くことにしたが、展望がまったく無い山行になってしまった。

6月29日(金)曇りのち雨
18:50 京大発
22:45 みつえ青少年旅行村着 しばらく遊んだ後、ベンチで寝る。

   Part1から1週間空けてのPart2。金曜の講義を終えるや否や我々は車に乗り込み奈良と三重の県境を目指していた。今回の行き先は台高北部、三峰(みうね)山から高見山へ抜けるルートである。これだけの説明ではよほどの台高好き以外、どこを歩くのか分からないだろう。少し解説すると、高見山は三重県にある台高山系と称される山脈の北端である。台高の高の字は高見山に由来する。こちらの山はご存知の方も大勢おられるはず。しかし三峰山といわれてもピンとこないのではないだろうか。三峰山は高見山の東に位置する山で、特記するべきものもないところである。この辺り一帯は冬季の樹氷が見られる所だが、7月になろうとする時期に登る人などまずいない。ここをPart2に選んだのはPart1に参加できなかった留学生のアナさんでも登れる山だから、というのが一番の理由だが、私が近畿で登ったことのない山に行きたいという希望との兼ね合いによるところもある。
 こうした理由を抱えたCLにはうってつけのPart2計画だったのだが、一つ問題があった。それは台高では切っても切り離せないアプローチという問題である。台高というのは奥深い山で、百名山がある大台ケ原と二百名山である高見山を除けば、下山地点近くにバス停および人家がある場所がほとんど無いか、あってもバスは日に3本という少なさなのだ。奥深いといえば聞こえはいいが、実際は植林が多くて登山客もあまり入らない山とも言える。下山地は高見山近辺に設定するとして、入山口にどうやって行き着くかは思案のしどころだった。幸いなことに、同じ週末に沢面がレンタカーで山に行くという。土曜の朝に出発の予定らしく、金曜の夜は車を遊ばせることになるらしいので、沢面の岩田とワンゲル専属ドライバーの前田さんに頼んで(前田さんは頼むとふたつ返事で運転してくれる頼もしい先輩)、我々は2台の車に分乗し三峰山の麓のみつえ青少年旅行村まで送ってもらうことになったのである。
 19時前に京大を出発した2台の車は4時間で目的地に到着した。外灯は点いているものの人の気配は無く、アスレチック施設を見つけたので岩田とターザンロープなどで遊んでみたりしたが、子供用なので壊れそうだった。天気予報で雨が降るとのことだったが、幸い庇があったのでその下で夜明けまで寝た。

6月30日(土)曇りwithガス
5:00 起床
6:00 出発 水歩荷
6:37 不動滝
7:33 避難小屋
8:08〜18 三峰山山頂
8:55 新道峠
9:38〜48 白髪峠
10:43 大滝山
10:52〜11:44 昼食
12:21 請取峠
13:05 794mピーク
13:16 CS1

   5時に起床。夜半に小雨がパラついたが庇のおかげで濡れることはなかった。各自朝食を食べながら出発の用意を整えていく。ここで安達がおもむろに空のペットボトルを5本取り出した。歩荷?
 新歓の2度のハイクでアナさんのレベルは大体検討がついていたので、それに合わせるため今回はその他のメンバーに歩荷(ぼっか)を命じておいたのだ。歩荷はワンゲル用語集も参照してもらいたいが、要はトレーニング用に余分の荷物を担ぐことだ。宮城さんや元気な新入生がPart1並みのペースで歩いてしまうとアナさんはとてもじゃないがついていけないので歩荷を持たせてペースダウンを図ったというわけなのだ。しかし、安達が取り出したペットボトル5本はすべて2リットル容器。いきなりの歩荷で10リットルの水を担ぐとは驚いた。安達には6人用のテントも持たせているので、彼のザックの重さは20キロは優に超えることになる。歩荷で装備が潰れてしまっては笑い話にしかならないので大丈夫なのか尋ねると、問題ないという。高校時代山岳部にいた安達は高校の頃もトレーニングの一環で歩荷をやっており、10キロの歩荷は平気なのだとか。高校山岳部の実力の一端を見た思いだ。CLは半ば呆れてしまったが、心の中で彼をワンゲルの終身荷物持ちに認定することは忘れなかった。この後宮城さんも対抗意識を燃やして水10キロの歩荷をすることになり、結局我々は1泊2日の行程にもかかわらず水だけは豊富に持つことになった。
 入山後しばらくは薄暗い谷筋を歩いていたが、不動滝という立派なしめ縄のかかった滝を過ぎると徐々に稜線に近づきながら高度を上げていく。この登りは木々のせいで薄暗いものの陰鬱とした印象はない。静かな早朝の森の雰囲気がなかなか趣深かった。台高の山はとにかく人の手がいたるところに入っており稜線上にまで植林が施されている。間伐が適度になされれば日差しが入って林全体が明るくなるのだろうが、残念ながら台高で明るい植林地帯にはお目にかかったことがない。山が明るくなれば歩きやすくなって女性的ないい山になるのに。結局不動滝から1時間ほど歩いて到着した三峰峠は樹が鬱蒼と生い茂るいつもの台高だった。しかもこの辺りから濃いガスが立ち込めてきて、三峰山にピストンに行くと山頂はガスで一面真っ白だった。記念撮影をして休憩もそこそこに峠に戻る。
 ここからはTopを安達に交代させてみた。経験者ということもあるが、4回生にSLをお願いしているくらい人材不足に悩むワンゲルの即戦力とすべく、新入生にTop経験を積ませようとしたのである。縦走のTopに求められるのは他のメンバーに配慮して一定のペースで歩くこと、道を間違えないようにすることの2つなのであるが、ある程度の経験は必要になってくる。最初は後続のことも考えず走り出したり、道を間違って引き返すことなどよくあることである。安達の場合ぺース配分は申し分なく、アナさんに合わせるかのようなペースで歩いていた。道は一本道なので間違えようもない。こうして真っ白なガスにつつまれながらかったるいアップダウンをこなしていった。
 9時38分に白髪山に到着する。ここは特筆することもないただの小ピークである。我々がここをCS1と設定していたこと以外は。車が出たことによって0付をすることになり、入山が大幅に早まったため朝10時前には予定のテン場に到着してしまったのである。テントを張るにはあまりに早い、早すぎる。当然予定を繰り上げ2日目の行程を歩くことにした(一応断っておくが、公共交通機関を乗り継いで入山口を目指した場合、駅寝を敢行しない限りは入山は昼以降になるのだから、ここをCS1に設定したのは妥当だと思う)。その後は昼食を取りつつ請取峠まで進んだ。
 さて昼食前から少しずつペースダウンしていたアナさんだが、請取峠にさしかかるとかなり疲れているように見えた。一方の上回生と他の2人の新入生はまだまだ元気。時間的にはまだまだ余裕があるのだが、仮にアナさんに頑張らせて16時まで歩いた場合、高見山まで着いてしまいそうだった。新入生2人勢いから、もしかするとそのまま下山までしてしまいそうな予感さえ働きだし、さすがに予備合宿で日帰り山行でしたというような報告はできんと思い、次のピッチから適当なテン場候補を探して歩くことにした。結局請取峠から40分ほど歩いた794mピーク周辺の緩傾斜にテントを張った。新入生2人は先に進みたそうだったが、アナさんのペースもだいぶ落ちていたし、まあまあ妥当なテン場だったと思う。テントを張った後は、大量の水があるにもかかわらず宮城さんと安達が水場を探しに行ったり、食当のアナさんが焼きそばに入れるためのお肉にステーキ肉を持ってきたりしたこと以外は、各自まったりとテン場生活を満喫していた。他に、高校の頃に天気図を書いたことがあると言っていた安達に天気図を書かせてみたところ、経験の賜物か、ワンゲル流とは違うものの完成の域に達していたことには素直に感心した。そんなこんなで日も落ち辺りが暗くなると、明日の下山は何時になるだろうかなどを考えながらシュラフにくるまった。

7月1日(日)曇りwithどガス
4:00 起床
4:58 出発
5:42 トクマ山西峰(1052m)
6:54 カヤノ山
7:49〜8:15 高見山
9:00 高見杉
9:30 下平野 下山
10:50 バス出発
14:15 京大着

 前日5時に起床した時点で辺りが明るかったので、この日は4時に起床した。6テンを手早くたたみ、早々に出発する。高見山までは前日と変わらない樹林帯が続く。3時間足らずで到着した高見山もガスが濃く、展望台に登っても景色が見えない。半ばあきらめ気分で記念撮影を済ませ下山を開始。下平野までは1時間半程度で降りてこれた。

【下山後】
 下山後温泉に入ろうと事前にチェックを入れていたので訪ねてみると、時間が早すぎてあと1時間半待たねばならないことが発覚。一方、日に3本しかないバスは10時過ぎに1本、これを逃すと14時までバスがないという悲惨さ。温泉と時間の間の板ばさみでしばらく悩んだが、結局温泉に入らないという選択をした。わざわざ下山地を下平野にしたのは温泉があるからだったのだが…。汚れた体で京大に帰り着いたのは14時過ぎ。解散後しばらくして岩田から連絡が入る。沢面は雨のため入山できなかったそうだ。今回の山行の展望のなさと合わせて、非常に残念であった。

【山行を終えて】
 この時期に台高で展望を期待するのが間違いなのかもしれない。  入ることのできなかった温泉は、最近できたばかりのような外観で設備の充実ぶりが窺えた。近くに立ち寄られた方は一度入ってみては?


文責:森戸

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