07前期 個人山行

裏岩手連峰 葛根田川・玉川大深沢連続遡下降

【日時】
07年8月25日〜27日 1人 2泊3日(計画段階では三泊四日)

【行程】
1日目:入渓−2h30m−葛根田大滝−40m−滝ノ又沢出合(CS1)
2日目:CS1−2h−八瀬森湿原−45m−関東沢出合−40m−大深沢出合−45m−三又−3h−大深小屋(CS2)
3日目:CS2−2h30m−下山〜林道歩きで八幡平へ

 8月24日、前夜友人と一悶着あり、鬱鬱としながら新幹線で京都から盛岡まで移動。その後鈍行で雫石駅まで移動し、買い出しをしてから駅寝。もう一人登山の方がいたので行き先を尋ねると,葛根田川(かっこんだがわ)に沢登りに行くとのこと。タクシーで林道終点まで行く予定らしい。こちらはバスで途中まで行った後、3時間ほど歩く予定だったのだが,明らかにタクシーの方が楽であろう。そう思って,同行させてもらうことにした。


8月25日 晴れ
 朝5時に、2人でタクシーに乗って入山地点まで移動。到着は5時半ごろ。ここは温泉が湧いているだけでなく、地熱発電所があり、蒸気と硫黄臭がすごかった。道路わきの護岸から上記が噴出しているのにはびっくりした。地熱発電所からは、ゲートを突破して林道を歩く。林道が未舗装になり、踏み跡になり、30分ほど歩いて沢から離れだす手前で、沢床へ降りた。ここは多少崩壊気味で、温泉くさいので通ったらわかるだろう。沢床へ降りたのは6時ごろ。ここでもう一人の方と別れた。
 沢はしばらく平凡だが、時折見事なゴルジュが出てくる。ここのゴルジュは,両壁が弧を描くように削られ,水は中央のとい状の部分(幅、深さともに数m)を流れている。あまり関西では見られない奇観だった。しかし、残念なことに全て水際を歩いて通過できる。面白い地形なのだが,イマイチ燃えない。
 大石沢出合を過ぎると,河原歩きが続く。途中、二段20mの葛根田大滝があるが,左岸の踏み跡から楽に高巻ける。ここから上流も,平凡な河原歩き。
 滝ノ又沢出合い下のテン場についたのは10時ごろ。もっと先まで進んでも良かったのだが、のんびりしようと思ったのでここで行動終了。昼寝をしてマッタリすごす。夜、寝る前にラジオを聴いていたら、翌日の夜から雨が降るとの予報が聞こえた。マッタリした事を後悔。


8月26日 曇り
 タープだけ張って外寝をしたのだが、夜は寒くてぜんぜん眠れなかった。北東北をなめていた。天気も曇りがちで、いかにもあと1,2時間しか持ちませんという感じ。日程を一日縮めることに決定し、朝5時に出発。
 葛根田川は本流をつめず、一般的な支流をつめるルートを選択した。本流との出合にある滝を直登。そこから先は,時折白いナメの出てくる平流。かなり上流にある20mの滝は右岸の踏み跡から小さく巻き、その上の二段8mの滝は,右側のクラック上の部分から突破。その先は再び平流となる。詰めはルンゼを一本間違えたようだが、すんなり登山道に出られたので、まぁ良いだろう。結局7時前につめあがり、八瀬森湿原へ。そこから関東沢の支流を下る。この支流は,小滝ばかりで特に難しい部分は無い。岩魚がうじゃうじゃいた。一回生の頃に行った白神山地級かも。関東沢に入ってからは,石が大きく体力を消費する河原歩きであった。2時間で沢の下降を終え、9時前に大深沢出合に到着。そこから大深沢の遡行に移る。ここも基本的に河原歩きだが,途中のナイアガラっぽい幅広の滝とその上のナメは見事。この辺の滝には全て残置ロープがあった。
 遡行開始から1時間弱で,三又に到着。ここからは、北ノ又沢をつめあがる。ここは遡行記録がほとんど無く、情報不足で結構わくわくした。出合からしばらくはナメが続く。そして,左から30mの大滝をかける支流(水量はかなりあるが、地形図には現れていない)が出会うと,谷は斜瀑を連ねながら方向を変える。最初の7m滝は,ちょっとヌルヌルして嫌らしい。この谷は,ナメがかなり発達していて、さらにその表面にはびっしりと苔が生え、穏やかで美しいところだった。岩魚はここにもうじゃうじゃいた。釣り道具を持参し、日程に余裕を持たせれば楽しい沢登りが出来そうだ。
 地形図に水線のある分岐を超えると,谷は普通の渓流になる。これといって見所は無いが、心が安らぐ感じの、よい渓流である。岩には苔が生え、自然の豊かさを感じさせる。1時間ほど進むと,等高線の詰まった急なところについた。ここは大きな滝があるわけではなく,一抱えくらいの岩が谷を埋めており,簡単に突破できる。その先から谷は完全な平流となった。沢の分岐は全て左側を選択。ピンクテープが巻いてあるところから,背丈以上あるド藪を東へトラバースした。30分ほど薮を漕ぐと登山道に出て,ほんの僅か下ると山小屋に至って行動終了。二日分弱行動し、コースタイムは10時間を軽く超えていたが、結局小屋に着いたのは13時半ごろ。休憩を考えると、7時間ちょっとの行動で済んだみたい。
 小屋は非常にきれいで快適。ほかに5人登山客がいたおかげか、夜寒い思いをすることは無かった。


8月27日
 5時ごろ起床。夜中かなり雨が降ったようだ。小屋まで行って正解だった。ツェルトだったら大変な思いをしただろう。6時過ぎに出発し、縦走路を北上して八幡平を目指す。平坦な道で、多少藪やぬかるみがあるものの歩きやすく、2時間半ほどで車道に出た。
 この後、八幡平周辺を散策し、ヒッチハイクで下界に。


【後日談】
 下山後は民宿で疲れを癒し岩手山登山に備えるつもりだったが、体調を崩してしまい登山は中止。28日は民宿から出ずに一日寝込んでいた。天候の読みはばっちりだったのに、体がついてこないとは情けない。唯一の救いは、民宿でヌコと戯れられたことだろうか。宿泊した民宿は、「斉藤ミニミニ牧場」という。一泊2食付で6500円。天然温泉つきで、料理もなかなかおいしい。感謝の意を示す意味で、ここで採り上げておきたい。
 29日の朝一のバスで八幡平を後にする。頭は痛いし眩暈はするし、最悪のコンディションだったが、気力で東京にいる友人と2時間ほどお茶をして、それから京都に帰ってきた。


【総括】
 岩手山にいけなかったことは無念だが、狙った沢をきちんと遡行することが出来たので満足している。岩手はワンゲルとは縁が薄い地域だが、大きな魅力を秘めている。豊かな森林、穏やかで女性的な山々、大地の力を感じさせる火山帯。今回、この山域を個人山行の目的地としたことは、我ながらよい選択だったと思う。今後も、機会があればぜひワンゲルの活動でも訪れてもらいたいものだ。

文責:平澤

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