07前期 個人山行

大峰 旭ノ川中ノ川遡行

【日時】
07年5月3日〜4日 4人 零付一泊二日

【行程】
1日目:中ノ川出合-0:23-地獄滝-0:28-極楽滝-0:21-権左滝-1:09-モジケ小屋-1:43-黒滝-0:58-幕営地
2日目:幕営地-1:39-稜線-0:05-七面山-2:08-1356mピーク-1:11-モジケ小屋-1:01-中ノ川出合
※行動時間は休憩を含まない

 この山行は、岩田練成ばかりで構ってあげられなかった北村を良い沢に連れて行こうと思って企画したものである。中ノ川は、正岡先輩と以前から行きたいと言っていたところであった。
 広瀬が所有する4人用テントを借りようとしたところ、彼も久々に沢に行きたいという事なので誘った。経験、実力ともに見事と言える面子で行くことになった。


5月2日

 この日は役員会だったので、出発が遅くなる事が心配されたが、思ったよりも役員会がすんなり終わった(2〜3時間かかるのはままある)ので8時過ぎには京都を出発できた。前日まで開催されていた30時間耐久麻雀(ちょうちん杯)のおかげで、レンタの中で俺と広瀬は屍と化していた。そのため往路の記憶は一切無いが、0時前に道の駅大塔に到着し、テント泊としたはずである。


5月3日 晴れ

 道の駅大塔から車を1時間程走らせ、入渓地点に到着した。この時のドライバーは俺だったのだが、久々の山道運転は楽しくなかった。入渓地点付近には、釣り人のものと思われる車が数台停まっていた。準備を整え、7:45に吊り橋を渡って入山。この吊り橋、細い上にワイヤーがさびているし、よく揺れて怖い。一人ずつ渡った。その後は沢沿いにつけられた踏み跡に従って進む。7:53に沢に降りられそうなところに着き、入渓。前を行く広瀬と正岡先輩は、すごい速さで進んでいく。俺は平気だったが、北村には少々きつかった様で、距離が開きがちだった。それでも手加減は一切しない辺りが個人山行らしい。
 8:08に最初の見所、地獄滝に着いた。「関西周辺の谷(という本)」では右岸を大巻きしているが、最近の資料では左岸から巻く事になっている。実際その方が簡単そうな上、残置ロープがあったので左岸から巻いた。この巻きは15分程で終了。難しいものではない。
 8:36、第二の見所の極楽滝。右岸の立木のあるところから小さく巻き、バンドを辿る。最後少しだけ直登して突破。ここは数分しかかからなかった。8:52〜9:03、両岸から支流が出会う十字峡に到着し、レストを入れた。
レストしてからすぐの9:10、権左(ごんざ)滝(一般には牛鬼滝。権左の由来はシグルイ。)に到着。大して高いわけではないが、ゴルジュの奥にかかり直登は不可能だ。左手前の岩壁に残置ロープがあったので、そこを登る。トラバース出来そうなテラスに出たが、少し進むとツルツルの岩壁に阻まれた。突破は無理そうなのでもう一段岩壁を登る。ここにも残置ロープがあった。しかし、ここの直登は難しかった。我々は残置ロープを利用しない(強度が不安だから)ということもあるが、少々上の方のホールドが乏しいのが主たる要因である。ここは正岡先輩が空荷で突破した後、ザックを上げ、後続はトップロープで登攀(とうはん)した。その後は斜面をトラバースして上流の淵を巻き、谷へ戻った。最後に下る地点にも残置ロープがあるが、ここも不安ならばザイルを使用すべきだろう。この巻きには1時間近く費やしてしまった。
 10:19〜31、モジケ小屋に到着し、レスト。この小屋は林業用の作業小屋で、中には入れない。ここから作業道が吊り橋まで続いている。林業用のモノレールがあり、森林科学科の俺と正岡先輩が盛り上がっていた。
 10:47、ヒジキ滝に到着。ここは二条の滝と遡行図には書かれていたが、左手前の滝は岩が濡れている程度であった。その辺りを直登。個人山行なので、全員好きなルートで一斉に登っていた。
 12:12〜42にササモト谷出合に到着し、昼食とする。今回昼食は各自としていたので、皆内容はバラバラ。正岡先輩がクラッカー、北村・広瀬が菓子パン、俺がカロメ。カロメが一番高級なのに、皆が貧相な昼飯だと馬鹿にする。12:44最後の見所、黒滝40mに到着。水が少ないので迫力は今ひとつだが、岩壁は見事だ。ここは右岸の尾根状部分から巻き始め、岩壁沿いに進む。岩壁が切れたところで尾根を乗り越え、谷へ降りる。ここも15分程で巻き終えた。しばらく進むと、斜15m滝が現れた。遡行図では左を直登と書いてあったが、俺の技量では無理であった。中程までは行けたのだが、そこから先はホールドが無く、滑れば下まで一気に落ちてしまいそうだった。冷や汗をかきながら撤退。右岸のブッシュ帯を登った。この上は、黒ナメ八丁と呼ばれる滑床が続く。だが、岩はどちらかと言うと白っぽかった。この谷の岩は全体的に良く滑るのだが、特にこのナメ床ではそれが酷い。皆ヌメヌメ八丁と呼んでいた。
 13:42、右岸に良いテン場を発見し、行動終了とする。時間はたっぷりあったので、薪を集めたり釣りをしたり(ここまで来ると既に魚はいなかったが)昼寝をしたり、のんびりと過ごす。16時前から夕食の準備を開始。この日のメニューはクリームシチュー。俺が適当に材料を見繕ったのだが、味はなかなか好評であった。夕食後は焚火を囲んで酒を飲み交わし、北村の寡黙さの要因だとか、俺がモテない理由だとかを検証。そんなこんなで山の夜は更け、21時頃就寝した。


5月4日 晴れ

 個人山行なので朝はのんびり(と言っても早めか?)5:00に起床。更に米炊きも朝行なった(いつもは前日の夜に炊いておいて、朝は冷や飯を食べる)。しかし、のんびり出発のつもりが、出発したのは6:34。ワンゲル沢面の目安、1時間半出発がほぼ達成されてしまった。2時間くらいはかけるつもりだったのだけど。
 出発してしばらくは水があったが、しばらく行くと伏流してしまった。しばらく行けば水流も復活するかと思ったが、行けども行けども水は無い。だんだん傾斜も急になってきて、水不足の危機かと思ったそのとき、最後の三つ又でようやく水流が復活した。チョロチョロ流れているだけだったが、これ幸いと水汲み(500ml/人)を行なう。この先は酷いガレで、全く水気無し。危ないところであった。
 酷いガレを落石に注意をしながら進み、8:23に稜線に到着した。せっかくなので空荷で七面山へピストンをかける。見晴らしがさぞ良いだろうと期待していたのだが、たいした事は無かった。とりあえず記念写真だけとって、そそくさと下山開始。
 下山路には地形図に点線で表記されている道を採用し、半時計回りに中ノ川出合まで向かった。しかし道は整備されておらず不明瞭極まりない。読図も難しく、ボーっとしているとすぐに現在地を見失ってしまう。更に、途中で地図に無い林道まで出てきた。とりあえず林道は使わず、予定のコースをたどる。11:10に1356mピークに着き、昼食とした。ここからは下の瀬戸谷のダムが見え、良い景色だった。
 昼食後も地図とにらめっこをしながらルートを探す。もはや踏み跡は無く、稜線を辿るのに必死だった。しかし、ここで再び林道にぶつかる。どうやら前述の林道と繋がっている様だ。この林道を使えばショートカットできたのかもしれない。林道は我々が降りた地点からすぐ西で終わっていたが、林業用のモノレールがきていた。ここで、前日見たモジケ小屋のモノレールの事を思い出した。このモノレールを辿れば、まず間違いなくモジケ小屋までは行ける。そう確信した俺と正岡先輩は広瀬、北村に事情を説明し、モノレールに沿って下り始めた。
 モノレールの軌道は、すごい傾斜の尾根沿いに続いていて、降りるのには難儀した。が、林道から下る事およそ30分、モジケ小屋に無事到着。ここで長めに休憩を入れた。長い下りで全員喉が渇いていたので、沢に降りて水をがぶ飲みした。小屋の屋根の下の日陰に入り、火照った身体を冷ます。水が全身に回るのを待って、13:02出発。ここからは作業道がはっきり着いていたので、それを辿った。地図上の道とはかなりのずれがあった様だが、細かい読図をしていないので何とも…。この作業道では、幾つも木製の古びた階段や橋が出てきて、林業への執念を感じた。14:03、下山。


【総括】

 序盤は踏み跡が明瞭でさほど困難ではないが、権佐滝は困難。モジケ小屋から先は平流が多くてだれるが、黒滝周辺からはナメが多く楽しい。ただし、岩はどこもよく滑る。水は早めに汲んでおくのが吉。詰めのガレ場は、岩が脆い上に大きいので、落石に充分な注意を払うこと。最後の登山道は、かなり体力を要する。林道を辿るのが賢明か? 少し難しめだが、完成編には適当かと思われる。

文責:平澤

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