06後期 沢パーティーPart4(完成編)

台高・宮川大和谷焼山谷遡行、本谷下降

【日時】
06年11月3日〜5日 前夜泊二泊三日 3人

【行程】
3日:林道終点−焼山谷出合−幕営地(標高800m弱)
4日:幕営地−稜線−池木屋山−弥次平峰−幕営地(標高1000mくらい)
5日:幕営地−夫婦滝−巴滝−大和谷ダム−焼山谷出合−林道終点

 完成編は,近年の沢では珍しい二泊三日の長めの日程をとる事にした。西表の合宿が長期になる事を見越したのと,個人的に一泊二日では物足りなくなっていた事,春に個人山行で開拓した大和谷にもう一度行っておきたかったのが主な理由である。面子もおとなしく言う事を聞いてくれ,天候にも恵まれ,無事に11月初めの3連休で行ってくる事が出来た。十一月二日、レンタで18時頃出発。三連休で予約がいっぱいだった為、今回はいつものMAZDAレンタカーではなく,ニッポンレンタカー。相手の都合に依り車のランクが一つ上がったので、かなり快適なドライブだった。日付が変わる直前にCS0に到着。途中で鹿を計20頭は目撃した気がする。0:20に就寝。

11月3日(金) 晴れ
5:00 起床
6:00 出発
6:59〜7:09 右岸水線ルンゼ手前、レスト。
7:54 地池谷出合下。
8:07〜20 焼山谷出合、レスト。
9:24 取水ダム。
9:52 巻き開始。
11:25 昼食レスト(〜12:10)。
13:47〜14:00 大滝上、レスト。
14:12 CS1到着、行動終了。鹿、カモシカ目撃。
 薪がいっぱい有ったので、盛大に燃やす。
19:00 就寝。

 5時に起床し,6時に出発。最初は河原歩きのつもりだったが,何故かゴーロ帯が延々続く。河原と思っていたのは記憶違いだった様だ。岩を潜ったり巻いたりしながら進む。二時間程で焼山谷出合に到着した。取水されていて水は殆どないが,すぐ目の前には20mの滝が見えている。此の滝を直登しようとして大苦戦。左の壁との境目から取り付くが、摩擦の少ないスラブでホールドも乏しく、苦しめられた。その後、最後の壁で更に苦戦。このままでは危険と判断し、急遽俺がザイルを持ち突破、後続を引っ張り上げた。登攀力に相当の自信の有るパーティー以外右巻きが無難である。その後の連瀑帯は,おとなしく右岸を巻いた。
 其の先は取水堰堤で一段落着くが,其の奥にはゴルジュ帯が続く。関西周辺の谷に依ると,巻いて少し谷に戻り,また巻いての繰り返しだったので,今回は一気に全て巻く事にした。基本ザレ場の巻きで足場が悪い。下回生の二人は苦戦した様だ。沢に慣れてくればもっと楽に行ける様になるだろう,頑張れ。巻きを終えたところの滝はランビレに良さそうだったが,最初の時間ロスが有ったので今回は見送った。其の先もまた嫌らしい巻き。足場は良いが刺の生えた木ばかりでかなり痛い。巻き終えたところで昼食にした。其の先は適度に滝の在る、普通の沢らしくなってきた。30mの大滝は,左岸の踏み跡を辿って巻いたが,途中で踏み跡が錯綜し,投げ縄&ゴボウ登攀というけっこう強引な突破をしてしまった。正しいルートは別に有るのだろうか?其の上は全くの平流になる,暫く進んだ河原をテン場として,行動を終了した。
 テン場周辺で薪が大量に集められたので,盛大に焚火を行った。やはり沢の夜は焚火を囲んで酒を飲むのが一番良い。後は魚が捕れれば言う事は無いが,其れは西表にとっておこう。焚火で体を温め,19時に就寝した。

11月4日(土) 晴れ後雨
4:30 起床
6:02 出発
6:32 連瀑帯。
9:24〜10:22 標高910m、昼食。
10:47〜52 標高960mくらい、水汲み一人1.5l
11:35〜43 レスト。
12:35〜50 稜線、沢装備一時解除。
13:02 池木屋山
13:36 ホウキガ峰
13:44〜51 レスト。
15:05 弥次平峰
15:08〜27 下降地点、沢装備装着。
15:55〜16:28 天気図レスト。
16:40 CSポイント到着、行動終了。
19:30 就寝。

 二日目は4時半に起床,6時に出発。暫く行くと,遡行図上最後の連瀑帯に着いた。昨日ランビレをしなかったので,二本目の滝で実施。その後の滝はさくさく超えた。連瀑帯を過ぎると,荒れた河原となる。この先は特に滝も無く詰め上がるのだろうと高を括っていたが,実際は遡行図に無い滝が多く時間がかかった。詰め上がり近くを適当に書くのは勘弁して欲しい。別に遡行図が無いと遡行出来ないわけではないが,計画を立て辛くてかなわん。
 詰め上がったのは予定よりもかなり遅れた12時半だった。かなり広い平地で,テント10張りはいけそうだ。雨の時は湿地となるだろうが。此処から予定テン場迄行くのは厳しそうだとは思ったが,ともかく進めるだけ進む事に。縦走路を足早に進む。だが,それでも下降開始地点に着いたのは15時を回ってからだった。行動出来るのはあと1時間程。テン場を一つ手前にずらす事にした。途中で天気図レストをとり,薄暗くなる中16時半過ぎにテン場に到着。雨も降り出し,昨日とは打って変わってジンミリした中で夕食を食べ,19時半に就寝した。

11月5日(日) 晴れ後曇り
4:30 起床
5:51 出発
6:34〜7:11 三段20m、補助ザイルでアプザイレン。
7:43 CS2予定地周辺通過。
7:53〜8:04 右岸からの水線ルンゼ出合、レスト。
8:45 夫婦滝上、水汲みレスト(一人0.3l)
8:55 巻き開始。
9:20〜48 ルンゼ出合、アプザイレン。
10:02 巻き終了。
10:04〜10:55 夫婦滝下、昼食レスト。
11:13〜27 巴滝、左巻き。
12:07〜17 レスト。
12:31〜55 ゴーロ帯、アプザイレン(予定外)。
13:56〜14:06 取水ダム、レスト。
14:44 焼山谷出合。
14:47 地池谷出合
15:06〜14 レスト
16:02 下山

 4時半に起床,6時前に出発。大和谷は5月に来た時と変わらず穏やかな流れだった。最初のアプザイレンから先は暫く平流で,落ち着いた流れが続く。焼山谷と違って荒れておらず,小川と言った様相である。テンポ良く進み,9時前に夫婦滝の上に着いた。此の滝は,以前巻き道を間違え二段アプザイレンで無理矢理突破した、苦い思い出のある滝だ。今回は最初思い切って高めに登る作戦をとった。最初の岩壁を全て上から巻き,高度感溢れる斜面をトラバースする。踏み跡か獣道かよく判らないところを慎重に進むと,左からルンゼが滝となって入ってくるところに出た。アプザイレンでルンゼの底へ降り,其処からガレたルンゼを下ると,夫婦滝の50m程下に出た。恐らく此れが正しい巻き道だったのだろう。最大の難所が無事突破出来て,一安心。滝の下で,二本の美瀑を眺めながら昼食にした。
 其の先は,巴滝の巻き等を順調にこなしていったが,途中のゴーロ帯で詰まってしまった。以前来た時は確かゴーロを無理矢理飛び越えるか何かで突破したと思うのだが,下二人が其れは嫌だと言う。此処は二人の意見を尊重し,脇からアプザイレンで安全に突破した。その後は特に難所も無く,取水ダムに到着。此処からは基本的に踏み跡を辿り、16時過ぎに無事下山した。
 その後、香肌峡温泉スメールに向かい三日間の疲れを落とした。そして,完成編が無事に終了した事を祝して、最後は豪勢に「ステーキのあさくま」にて打ち上げ。ハードだったが内容の濃い完成編だった。

総括
 焼山谷は序盤の滝は困難なので、KUWVではこの部分は全て巻いても良いだろう。巻きが不明瞭かつトゲトゲ薮で充分に悪いので、それでも困難さは完成編クラスであると思う。巻きが終わった後は直登と巻きがバランス良く現れる。途中の荒れた河原でダレてしまうが、最後の樹林帯は奇麗。序盤さえ我慢すれば良い谷であろう。アマゴはテン場辺りには少々いる。
 大和谷は、穏やかな流れが続き、心和む。しかし難しいところは難しいので、下降の沢としてはけっこうレベルが高いと思う。ポイントとなるのはやはり夫婦滝の巻き。不明瞭な上にかなりの高度感が有るので要注意である。その他最後のゴーロ帯もけっこう大変。慣れない人は注意。アマゴは夫婦滝より上はウジャウジャいる。

※2007年までこの水系は全面禁漁。釣りをするなら其れ以降で。又、其れ以降釣り人が増えると、巻きの状況、魚の数は変わると思われる。

文責:平澤

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