05年後期沢パーティーpart4

南紀「立間戸谷遡行」

05年11月19日〜20日 1泊2日 4人

行程
1日目:立間戸谷出合(入山)---源助滝幕営地(標高260m地点)---屏風滝ピストン---幕営地
2日目:幕営地---植林小屋---子ノ泊山---幕営地---立間戸谷出合(下山)

 予備合宿もついに完成編。今回の目的地は、遥か遠い南紀の立間戸谷だ。この谷は、夏休みの終わりから目を付けていたところで、30mを超える大滝を6本、1000mの長大なナメを有するすごい渓流であった。天候にも恵まれ、最高の山行だった。

1日目 快晴
 この週末は天気もよいとのことなので、かなりの期待を持って初日の朝3時過ぎにボックスを出発した。ここから6時間かけて入山口へ向かい10時頃入山できれば良いだろう、どうせ初日の行動時間は3時間くらいだし、と考えていたのだが、その予定は大幅に狂ってしまった。ドライバー松尾の活躍により、4時間半で入山口についてしまったせいだ。常に制限速度の2倍近い速度で走行する松尾の将来が、少し不安になった。 結果として、8時18分に入山することになってしまった。天気は快晴。入山時に晴れていたのはこれが今季初だった。行動時間に余裕があるので、源助滝までのゴーロ帯で遊んだりしてのんびりしていた。9時5分に源助滝。落ち口はなだらかなナメで、徐々に傾斜を増していくその姿は素晴らしい物だった。まさに美瀑。ここでは写真を撮ったりして、9時15分に出発。右岸の登山道を辿り、源助滝を巻く。この巻きでは途中岸壁の下にそれらしい踏み跡があり間違えたが、正しい登山道にはきちんと看板がある。その後は幕営地まで、この登山道をひたすら登る。結構荒れた道との話だったが、実際はしっかりしたものだった。10時21分、幕営地に到着し、昼食をとる(〜10時57分)。その後、屏風滝という100mほどの滝を見に行ったりもしたのだが、それでもその日の行動は11時48分に終了してしまった。このまま進むかここで泊まるか悩んだが、この先のテン場の状況がわからなかったので、結局この日の行動はここまでとした。後は暇なので19時40分に就寝するまで、延々盛大な焚火をし、酒を飲みかわしていた。

2日目 快晴
 翌日は4時30分に起床。1時間で出発準備も完了したが、その後1時間近く夜明けを待つはめになった。どうも夜明けの時間を間違えていたようだ。面子の不満は聞き流した。この日も快晴で、6時20分に出発。そこから先は、数百mの間に巨大な滝が立ち並ぶ、本当にすごいところだった。直登するようなところは無いし、巻き終えてすぐのところに次の滝が待ち構えているので、あまり沢を登っている気はしなかったが、これはこれで楽しかった。滝も奇麗なものばかりで、青空と紅葉と美瀑という、今までに無い素晴らしい景色が堪能できた沢だった。特に大きな滝は、一番目の牛鬼滝60m、3番目の50m、6番目の50mの滝である。この3つは、巻きもなかなか悪かった。牛鬼滝は、滝の右手にあるゴーロを登っていくとガレたルンゼになるので、それを中程まで登り落ち口へトラバースする。踏み跡こそあるが、トラバースは足下が結構切れていて怖かった。3番目の滝は、滝の下流に来ている左の小尾根から巻く。ここにもうっすらと踏み跡がある。ある程度登ると、踏み跡は滝の方へトラバースしていき、最後は傾斜したスラブの上を通って落ち口へ行く。ここは、フリクションは良いものの、つまずきでもしたら落ちて死ぬことは確定である。我々はザイルをだして全員を確保した。今回はしなかったが、スラブ上のトラバースの距離を考えると、途中にプロテクションをとるべきだったろう。6番目の滝は、右から小尾根の上を通って巻くが、この尾根はしばらくナイフリッジになっている。展望は素晴らしいが、足下は垂直に50m以上切れ落ちているので、ここは慎重に。傾斜が緩くなった辺りから沢に向かい下降すると、落ち口の上に出られる。 滝場を超えるとガレた谷になった。9時23分に植林小屋。この小屋には泊まれなくはないが、ゴミだらけなので出来れば避けたい。ここからしばらくは幕営可能地点が多かった。さらに行くと、水が伏流し殆どなくなってしまう。が、それから程なくして、沢が三つ又になっているところを通過すると、長大なナメに出た。(10時10分)。ここは冠水した舗装道路のようで面白いところだった。結構傾斜のきついところもあったが、さわやかな秋晴れの下こんなところを行くのは非常に清々しい。日差しがナメに反射して金色に輝いているところもあって、美しかった。こうして皆ですごいすごいとはしゃぎながらも、平地並みの速度が出たので20分で通過。ナメが終わると薮沢になったので、しばらくはしつこく沢沿いの踏み跡をたどっていたが、諦めて適当なところから稜線へあがった。詰め上がったのは山頂直前のコル。ここには地形図に無い林道が通っていた。11時3分に山頂に到着。山頂からは太平洋が一望でき、ここも素晴らしかった。ここでのんびり昼食を食べ、12時8分西へ続く登山道を辿り下山開始。ここの登山道は偽の踏み跡があったり一部不明瞭だったりしたが、一番はっきりしたところを辿れば問題なかった。13時3分に植林小屋へ戻る。ここからは数十m沢沿いを下ったあと、左岸の踏み跡を辿る。この踏み跡はガレていて不明確。テープも錯綜している。途中で、紀伊半島では少なくなっている熊が斜面のかなり下にいるのを見かけた。熊に気付いてもらえるよう、皆で大きな声でしゃべりつつ進んでいく。14時5分に幕営地に戻り、ここから廃棄に通った登山道を逆行。15時11分、下山。下山路があまり良くないことと沢が短いことを除けば、素晴らしいの一言につきる、そんなところだった。 下山後は新宮の焼肉屋で打ち上げ、紀伊半島をぐるっと回り、翌日の深夜2時半にボックスへ帰還した。

文責:平澤
地形図(2万5千分の1):大里
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