05前期 沢パーティーPart4

奥美濃「夜叉ヶ池〜美濃俣丸 藪漕ぎ」

05年7月9〜10日 0付1泊2日 6人

メンバー
正岡、広瀬、中村、平澤、松尾、灘部(ゲスト)

行程
0日目:BOX発―夜叉ヶ池登山口
1日目:夜叉ヶ池登山口(入山)―夜叉ヶ池―1250藪突入地点―藪2.6km地点(CS1)
2日目:藪2.6km地点―美濃俣丸山頂―鈴谷川沿いの林道終点付近(下山)

紹介のときに発覚したのだが、今回の美濃俣丸コースは2001年に、後に伝説になった伊藤さんパーティーが八月にヤブ+沢の計画で猛暑の中突入し、熱射病になりかけ敗走したいわくつきのコースであった。信じられないことに、話は知っていたのにそれがこのコースであることを完全に失念していたのだ。さらに本来2泊の計画を0付1泊にしていたので役員会でも色々言われ、猛暑なら早めに撤退することを条件に通してもらった。また、ナダベさんが「伝説のコースを体験してみたい」とのことで突如ゲスト参加することとなった。RFには口出ししないことが参加条件だったが、それでも自分としては大分気が楽になった。ここに感謝するとともに、そのアルピニズムには最大の敬意を表したい。

0日目
 6人とデポ用自転車を積み、ライトエース(ボンゴバン貸出中のため)は福井県に向かってひた走った。途中峠道でトラックに突っ込みかけたり川でホタルを見て癒されたりしながら、11時前に0付地点に到着した。ただの山の中かと思いきや、夜叉ヶ池への登山客が多いらしく電気こそ無いものの立派なトイレ付の広場になっていた。平澤とナダベさんに下山地点に自転車をデポしに行ってもらったのだが帰りがあまりにも遅く、道が狭かったし事故ったのかとかなり心配した。そして携帯も通じないのでここまで歩いて呼びにくる姿をリアルに想像し、かなり焦った。結局帰ってきたのは12時過ぎで、話によると地図に無いダムが出来ていて迷ったらしい。この夜は星空ものぞいたが、明日の予報は雨、降水確率80%である。どうなることか。

1日目 曇のち雨
 翌朝はトイレの登山者ノートに記帳し、5時前に出発した。整備された登山道を1時間半も登ると、竜神伝説で知られ泉鏡花の戯曲で有名な夜叉ヶ池に着く。霧がたちこめ幻想的な風景で、今回初めてヤシャゲンゴロウを見れた。ここだけの固有種で貴重らしい。ここでレストにして水汲みピストンに行くが、稜線に出た瞬間に突風が吹き荒れ、後の嵐の予感に身が震えた。この後強風の中三周ヶ岳へのヤブのような登山道を進み、8時前にヤブに突入した。
ところがいきなりメインの尾根に乗り損ねてしまい、早速の登り返しに辟易する。尾根に復帰した後はぎりぎりもっていた雨が本格化し、ペースはどんどん下がっていった。6人パーティーというのも難しくどうしても自分と先頭とが離れてしまい、雨もあって意思疎通ができなくなり、RFにも支障が出て頭を悩ませた。
寒さと不快さで皆レストも欲しがらず、西表以来の地獄の3時間ピッチをやってしまった。全員口数は少なく、特に松尾は昼食以来貝のように無口になってしまった。「僕たちはどうしてこんな所に来てしまったんだろう…」と何やら最終回ムードが漂っている。天気図レストをあきらめ、CS1到着もあきらめた4時過ぎ、ぎりぎりテン張れるスペースを見つけた。面子は口には出さないが憔悴しきっているのは明らかで、CS1には程遠いが今日はここまでとした。
ずぶ濡れの野郎6人が6テンにひしめきあい、天井に掛けられたセパからは水滴が滴り落ち、傾いたテントの低地には水溜りが形成され、テント内の不快指数は一般人の想像しえない領域に達していたと思う。だがこういう状況になると価値観も適応してしまうのか、不思議とそれほど不快には感じないものである。
夕飯を食べ、寝付いてからも雨は降り続いていた。シュラフを出す際、ナダベさんをテントの端っこに誘導してしまったことをここで陳謝しておきたい。

2日目 曇のち晴
 翌朝ザックの整理に出たときにまた降り出して絶望しかけたが、出発の時間にはもうやんでいた。6テンをナダベさんに託し、一気にペースアップを図る。この日の天候は快適で、面子も元気を取り戻して順調に進んだ。10時半ごろ美濃俣丸山頂に到着し、昼食にした。山頂は地元の山岳会が来ているらしく笹が刈られ展望が良く、標識もあってびっくりした。平澤の秘密兵器・豪華ゼリーを堪能し、ここからは一気に下りたいところだったが、踏み跡はあったが途切れ途切れで、途中イモムシにたかられたりして思ったほどペースは上がらなかったが、なんとか3時半過ぎに下山となった。最後まで急斜面をきわどくトラバースさせられるなど苦労続きで、林道に出た瞬間は拍手でもしたい気分だった。
しばらく林道を行くと真新しいダムがあり、デポ自転車が我々を迎えてくれた。平澤に車を取りにいってもらう間は、皆荷物を道にこれでもかというくらい広げて乾かし、広瀬は余ったチューハイで作為的に運転不能状態になっていた。案外早く帰ってきた平澤はその光景に呆然としていたが、過去最悪クラスのヤブでTopを務めあげたのだからそのくらいは許されるだろう。
これで予備合宿も山場を越えた。その後は近くの温泉に入り、雨の中車を飛ばして自分はなんとか終電で帰宅した。

文責:正岡

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