05前期 沢パーティーPart3

台高「蓮川野江股谷遡行」

05年6月25〜26日 1泊2日 5人

メンバー
正岡、広瀬、中村、平澤、松尾

行程
1日目:絵馬小屋林道終点(入渓)―不動滝―二股(CS1)
2日目:二股―稜線―ナンノ木平―絵馬小屋林道終点(下山)

 自分のやってみたかったことの1つとして、ワンゲルの新ルート開拓がある。過去に記録の無い沢を遡行し、後の定番コースの先駆者となる…そんな野望を実現するには、今このタイミングしかない。選んだ場所は、前々からネットで見て気になっていた野江股谷である。絵馬小屋谷という名谷の支流でありながら「関西周辺」に載ってないくらい知名度は低く、ネットの遡行記録も少ない。豊富な滝とゴルジュがあり、美しい自然林も見所の3級の谷である。ここしかないという思いで下調べしたところ、見つかった文献はナカニシヤの「台高の沢」と、後で気付いたがエアリアにも遡行図が載っており、最近メジャーになってきた沢なのかも知れない。

1日目 晴
蓮(はちす)の沢はアプローチが便利で、今回も0付はせず朝4時にBOXを発ち8時には入渓した。少し歩くといきなりの核心部、不動滝&イガミ滝のゴルジュにぶつかる。固い岩盤を激流が少しずつ滑らかに削り取ったような、まるで巨大な雨樋のような凄い地形で、ゴルジュは上部がくっつきそうなほど深く、狭く、暗い。細長い釜をへつっていくと不動滝が見れるが、周りの凄まじい圧迫感に押しつぶされそうである。少し戻って右岸のテラス状の足場から巻くが、滑って怖い。巻き終わると今度はイガミ滝が顔を見せるが、これも今までに無い迫力で、周りの岩盤が滝身を囲むように奇麗に磨かれた円筒状をなし、内部には何者の存在も許さない空間が広がっていた。こればかりはどんなクライマーも厳しいだろうと思いつつ、引き返し気味に斜上し樹林帯まで上がって巻いた。ここまで2時間で、この後も滝とゴルジュの巻きがメインとなる。
入渓直後から気になっていたガレ・倒木が昼食後あたりから増えだしていたが、いよいよCS1に近づいた頃、その元凶といえる大規模な崩壊地が姿を現した。まだ新しい感じもするのでおそらく去年の台風によるものではないだろうか。面白そうな滝やゴルジュが埋まっていたのが残念で、来るのが1年遅かったと悔やまれる。だがそこから上流はまだガレもなく、特に崩壊地のすぐ上流はすごいゴルジュになっており、遡行図にも思わず「すごいゴルジュ」と書いてしまった。これを左岸から巻くとすぐに二股のCS1で、きれいに整地されたスペースがあった。2時半着。早く着くならランビレやっときゃよかった。
 この日は今期初となる焚き火をした。湿った木に苦戦しつつも、西表で導入した新理論により夕飯前には燃え上がった。この日は残念ながら魚は無いが、やはり沢の夕飯は焚き火があるだけで100倍は旨くなる。数値はナダベさん的な適当なものだけど。夕飯は鍋っぽい煮込み料理だったが、入れる予定だった白菜を松尾のザックから出すとすでに黄色くしおれ、粘性液体にまみれていた。漬物に見えなくもなかったが、白神のすっぱい味噌汁を思い出し、心を鬼にして穴に埋めた。食当と食当たりは違うことをみんな覚えておいてほしい(正しくは食中り)。

2日目 晴
 翌日は右股に入り、一箇所きつい高巻きがあった後は聞きしに勝る美しい詰め上がりで、最後にはガレもほとんど無くなり、鮮やかな緑の中で落ち葉を踏みながら稜線に出た。その後はナンノ木平から急な登山道を駆け下り、10時過ぎには入渓地点に戻ってきた。とにかく暑く、泳ごうと言ったら松尾しか付いてこなかった。水は冷たかった。
 野江股谷はこの周辺の他谷と同じく暗く小規模な渓相だが、小さいながら発達したゴルジュの中を行く圧迫感はなかなかである。Part2の不動谷と同様台高の心地よい自然を満喫できる秀渓なので、いつか紅葉の季節にでもまた訪れてみたいと思う。

文責:正岡

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