2002年度後期 個人山行

比良山系 明王谷の側の林道から長池、蓬莱山


そもそもこんなよくわからない、正気の沙汰ではない、どうかしている、何とでも言ってくださいのようなルートを選んだのにはわけがある。一回生PWが全員で比良を目指していたので、池田と辻がそれでは面白いルートでも使って一回生PWの邪魔でも(差し入れの酒が目的という説もある)しようかと計画したのだ。ああ、しかし予定は未定。前日になってなぜか一回生PWが取りやめになり、数人の元気をもてあます献血にでもいって社会に貢献しなさいという感じの若者(若者とはばか者の別名ではありません)一回生とよりによって比良の藪をさまようことになった。
さて、前置きが長くなったが一回生三人と二回生二人で(なぜか顔ぶれが普段の池田パーティーと変わらない)普段の武奈バスに乗り、普段の坊村で降りた。ちなみに坊村というのは坊村であって某村ではありません(すんません)。でまあ、入山地点からとにかく白滝山に向かい、白滝山に敬意を表することもなく長池を目指した。長池につくと長池に敬意を表するどころか「なっしーなんているんじゃないの」とかいいつつ(やめれ)、一人約一斤の食パンをサンドイッチにして平らげたのだからこの面々は食糧危機の天敵である。
長池を出ると本格的な藪。長池からでて平坦な道が続く部分は難しかった。このあたりは池の大量発生地帯であり、下手に踏み入れると泥に足を突っ込むことになる。しかしこのあたりの藪はせいぜい胸ぐらいまでであり、藪としての価値があるかどうかは分からないがRFの練習にはなる。この、足元から胸までの藪は1080のピークまで続き、1080を越えた峠から蓬莱山までは違った様相を見せる。本格的な藪である。沢パーティーとは違い、藪というものをまともに経験したことのない人間ぞろいであったせいもあり、自分の身体が完璧に埋まり、一方五区ごとに身体がのめりこみ、潅木にさえぎられ、腹を立てて蹴飛ばすと自分がこけ、眼鏡を取られ、踏んだり蹴ったりであった。ここまできて戻ろう、と思ったのは辻だけではありますまい。一回生のSは名言を残した。藪に入ると三度心境がかわる。すなわちこれ、新鮮さに始まり、虚脱感に続き、解放感に包まれる、と(いってません)。初めての藪に悪戦苦闘しつつ、藪を抜けるといつもの蓬莱山。スキー場がぽっかりと広がっていた。あの川端康成も言っています。藪を抜けると雪国だった(違います)。感動的なフィナーレを迎え、ワンゲル小屋に直行した。この後、大量の酒を飲みまくり、次の日の出発が10時頃になったことは記すまでもない。ところで、この記録がほんとうに価値をもつのかどうか。


作成者 辻

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